企画名
君の商品プロデュース
〇直面している課題
SNSやゲーム、過度な習い事など子どもたちが育つ社会環境の変化により、最近の小学生はコミュニケーション能力や発想力、分析力などが欠如しています。
その一方で今日の日本社会は少子高齢化、国際化の影響により社会で活躍する人、一人一人に高いパフォーマンスが求められるようになりました。
これらのギャップを埋めるために初等教育段階から積極的に起業家教育を実践していくことが重要です。
消費者の気持ちを考えながら試行錯誤しどのようにすれば売れる商品が作れるか、小学生が自らアイディアを出すことで、発想力を高め、グループワークによってチームワークを身につけられます。また、商品企画を発表することで、プレゼン能力や人に伝達する力を養えることができます。そして、実際に企業が行なっている例を出すことで、フィードバックとして商品のマーケティングの部分を見ることがでるため深く知識を得られるきっかけになります。
〇企画の内容(具体的なワークのやり方)
6、7人のグループを作り、リーダーと書記を各班一人ずつ決めておきましょう。
リーダーはみんなの意見がまとまらないときの最終決定を行います。
グループに一枚A4の白紙三枚用意し、書記は②④⑤の際にみんなから出る意見を書き込んでいきます。最終的に発表するため、模造紙に自分の班でできた商品をまとめます。
まとめ方、発表の仕方は班で自由。時間は三時間以内で行うと良いでしょう。
① テーマを決めます。
「もしも、夏に渋谷にあるコンビニでミネラルウォーターをきみが売り出すとしたら?」というように状況、売り出す場所、時期を指定して問題提起しましょう。提起する場所は渋谷、誰もが立ち寄れるコンビニを指定。
(この場所はもっと身近な地域に変えてもいいです。また、年齢層を指定してもよいでしょう。)
②「まずは、渋谷の特徴を思いつくだけ挙げてみましょう。」(10分)
(例)若者の街、最先端、人が多い、ハチ公、ごみがたくさん落ちている、自然が少ない
などグループで話し合い、思いついたものをどんどん紙に書き込むようにします。
③「商品を作るうえで、何を一番重要視するかを定めて、ペットボトルの形を選びましょう。」(10分)
ペットボトルの形は三種類、下の写真とそれぞれの条件を提示し、
班で一つこの中から選ばせましょう。
Ⅰ.小さくて持ち運びに便利(重くないので高齢者、女性向き)
Ⅱ.スタイリッシュでデザインが良い(おしゃれなデザインで若者向き)
Ⅲ.ペコ楽ボトルで環境にやさしい(ターゲットは定めず環境を重視)
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
④「パッケージのデザインを選びましょう。」(1時間)
天然水、いろはす、晴れと水、など有名な水のパッケージを参考にしつつ、デザインを考えます。できれば先ほど挙げた渋谷の特徴と結びつくような商品名とデザインになればなお良いでしょう。デザインや商品名から何をイメージさせるミネラルウォーターにしたいか、それにたどり着いた過程、明確な理由を持たせましょう。
(ヒント)のどが渇いたときに君が買おうと思う水はどんな水かな?
(ヒント)自然がない渋谷でさわやかなイメージを持てるようなデザインは?
(例)商品名:おいし水
パッケージデザイン:熊が川のそばでペットボトルの水を飲んでいる絵。
その理由:渋谷はゴミが多く、汚い、自然が少ないイメージなので自然を感じられる川の絵と、若い人に親しみを持ってもらえるようなかわいらしい熊の絵をデザインしました。商品名に「おいしい」という単語を入れることでよりおいしさが伝わるようにしました。
※実際にパッケージデザインは絵をかいてもらいますが、例として作成したものを
張り付けることが難しいため文字で表しています。
⑤「次に商品がもっと売れるプラスαを考えましょう。」(30分)
完全に自由な発想で何個でも可。どうすればより買ってもらえる水にできるのかを考え、意見を出し書記が紙に書き込むようにします。
(例)キーホルダーや、QRコードを付けたり、一本無料シール、ラベルを捨てないで使えるデザインにする、お店との連携など
⑥「模造紙を完成させましょう。」(30分)
模造紙に各班出したアイディアをまとめていきます。書き方や書く担当は自由ですが下の項目は必ず入れるようにしましょう。
<ポイント>
見る側に自分たちの商品が伝わりやすいように書こう。
<書く項目>
1.考えたデザイン
2.選んだペットボトルの形とその理由
3.なぜその商品名、デザインにしたのかという詳しい理由
4.どんなプラスαにしたのか
⑦「各班完成させた模造紙を用いて発表しましょう。」(各班5~10分ずつ)
⑧「先生からの各班への感想、そして企業各社の例を見てフィードバックをしましょう。」
各班のコメントとして、アイディアに関する感想、模造紙に関する感想、発表に関する感想を伝えてあげましょう。
また、全体でのフィードバックとして、下記に書いたように実際に企業はどのように考え、デザインしているのかを教えましょう。
<いろはす>
軽量なのに強度が高く持ち運びやすさを重視し、特に飲んだ後は小さくまとまるペコ楽ボトルを使用し、環境を重要視したミネラルウォーター。デザインはいろはすの象徴である葉の形をした風車とラベルに半透明、透明の水滴を表すことでみずみずしさを表現している。いろはすという商品名は、日本古来の「いろは歌」の最初の三文字と、健康と環境を志向するキーワード「LOHAS (ロハス)」を掛け合わせ、やわらかな語感のひらがなの名で、国産の天然水であることを表現している。
<アルプスの天然水>
こちらも軽量で環境を重視しているボトルを使用。デザインはアルプスの山を書いており、山の森で生まれた天然水を表している。実際に、南アルプスの甲斐駒ヶ岳の地下水から採水しているためこの商品名となっている。
<晴れと水>
洗練されたロングネックボトルを使用し、パッケージのデザインは清流をイメージとした青いストライプ。〇△□はそれぞれ晴れ、水、森(白樺)を表している。心も体も晴れ渡る水ということで晴れと水という商品名になっている。
★みんなが日常生活で目にする商品たちは、今みんながやってきたワークと同じように企業側はどのくらいの年齢層に受け入れてもらいたいか、どうすれば売れる商品になるのか、など沢山時間をかけて、会議を繰り返して生まれています。コンビニやスーパーで様々な商品を見たときに、これは売れるためにどういう工夫がされているのかを意識して見てみましょう。
〇具体的な到達目標
簡単な商品開発に触れる機会を作り、誰のため、何のためにこのようにしたという理由付けをすることで、より深みのある小学生ならではの発想力が生まれ、学びにつながると考えています。早い段階から売り手の意識に触れることで、他者理解能力の向上につながり、児童の視野を広げるきっかけになることを期待しています。